免許センターの献血室で休んでいる時にたまたま近くに座って話をしたのがきっかけでした。彼は長身のメガネをかけたインテリタイプ。
勿論結婚していて真面目で優しそうな外見でした。
声はやや低音で聞き取りやすく、肯きながら話を聞いてくれる彼は、家庭外では引っ込み思案気味に大人しかった私が、いつの間にか夢中で話をしてしまうほど聞き上手でした。
同じ時間に免許を受け取るので、免許を待つ間も並んで座りました。待合室はソファー式の5人かけの椅子でした。
私は左隅に座り彼が隣でした。最初はゆったりと座っていたのですが、反対側にやや身体の大きな男性が座り、自然に皆が詰めて窮屈になりました。
私は端に座っていたので少し不安定なほど端によっていました。
私が落ちないか気にしていると、彼がスッと腰に手を回して支えてくれました。「あ・・」と思ったときは彼が微笑んで「大丈夫ですか?」と聞いてくる顔が目の前にありました。
(落ちないように好意で支えてくれたんだ・・・)と、邪険に立ち上がったりしない言い訳を心の中でしていました。